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蛍舞い 蛙の騒ぐ 夏来たぞ
何故に声無い 庭のエンマ等


里の野は 雪花の騒ぐ 夏の来し


蛙のみ 夜に騒ぐが そのやがて
雪花鶯 行行子も騒ぎ


蛍火や 面影揺れて 夏はまた


面影が 三日月舟に 揺られ来て
涙落とすや 星らの川に


古伝には 目糞鼻糞 笑うとか
言い得て妙ぞ 政治屋本舗


藤波に 山路細りし 甘しかな


藤波に 君の奪われ 我寂し


藤波に 透かして嬉し その笑顔


椎の木を 丸ごと包み 藤の花


嫋やかに 色香零して 我誘う
夢に彷徨う 藤の花かな


益荒男が 手弱女恋ふや 藤の花


搦やかも 河竹哀し 藤の花


藤花は 風と遊ぶや 皐月空


恋の火を 尚も燃やして 皐月闇


手も無いに 大手を振って ヘビの行き 


つらつらと 想ふにもしや コオロギよ
声の無けりは ジェノサイドかや


小陽の 薺の枯れて 麦の秋


碁盤田に 烏鷺の寛ぐ 風情かな


碁盤田は 烏と鷺の 合戦場
名人呼んで 優劣聞こか







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