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載勝よ 桑の芽出たぞ 早よ来いや 


この夜は 蛙と我が 贅尽くす
水面と空に 月を眺めて


花々に 惨くはないか 涅槃西風



安らぎは 涅槃にあると 陽は沈む


不器用の 鶯鳴くは ギッチョ哉


白もあり 萌黄もありて 紅もあり
賑やかなるや 里の野山は


芋食えば 尻が鳴るなり 放屁ん寺



蛙らも 歌を忘れて 花見かな


潔く 散り逝く桜 その心
男(おのこ)の憂い たれぞ知りなん



この雨よ 春はしじまに 野良隠し 



花びらが 水田に浮かぶ 里景色


倫ならぬ 逢瀬隠して 花吹雪


老いて尚 想い溢るる 桜かな


一片を 水田に浮かべ 花見かな


廃校に 遺る桜は 白染めて
戻らぬ子らを 今年も待つや


久方に 見上げる月の 輝きに
明日の乙女を 想うやしばし


苗の田で 月に騒げる 蛙かな


春乙女 のちの月にも 負けやせぬ


月隠し 花の賑わう 小宇宙


田に騒ぐ 蛙のものか 弥生月








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