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若葉らの 黄砂流して 菜種梅雨


三椏を 胸に灯して 君の忌や


我拒み サルトリバラは 花盛り


恋闇に 我を酔わせて 沈丁花


角落とす 季節忘れて 鹿笑う


静かさや 花散る声が 耳朶に舞い



水青く 若葉は燃えて 里の春


里の野は 鹿ら安堵の 春の宵


恨めしと 田起し眺む 小鹿かな


ぼんやりと 桜の浮かぶ しじま哉


田鼠化し 鶉と為りて 虹の空



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