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巷では インフルエンザ 騒がれて
水浴び蛙 マスク放せず



飽きもせず 菜種の雨は 降りに降り



旅立ちに 胸膨らます 若人の
想い辿れば 酒も美味しや 



三日月も 隠して降るや 菜種梅雨



久方や 菜種畑の 三日月は
風情を連れて 彼のひと連れて



今宵また 君を連れ来る 春の風
花を渡れば 抱きも出来ず 



野良景色 ひとりで染める 山桜



言の葉の 温もり待つや 桃の花



弥生夜に 花乗せ行くか 月の舟



花々が 春を歌いて 雨上がり



蛙らは 歌うか寝るに 忙(せわ)しくて
花見る暇も 無きと嘆くや



この夜は 明日の出番に 蟄虫が
待ちきれぬとて 夜通し騒ぎ



田の上に 忘れ置かれた 棚雲の
戸惑う様や 雨後の野良景色
                  字余り



縁側に 天国のあり 午睡かな



春や春 午睡の夢の 艶かし



世知辛い 世間の遠き 縁側に
どなたと遊ぶ 午睡の夢は



縁側に 結ぶ逢瀬や 春の夢



久方に 星と遊ぶや 花の中



春なれど 蛙も鳴けぬ 寒さかな



白染めた 山の桜の 散る後は
紅葉と染まる 若葉の季節







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