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寒(さむ)や寒 春は二度寝の 夢の中
明日降る雨が 目覚めさすかや


白梅や 寒のしじまに 震え散り 


人通り 途絶えて寒の 夜は更け



紅梅に 君の面影 偲ぶるも
春の浅きは 温もり奪い


あばら家を いじめて荒む 涅槃西風(にし)


温もりを 厭(いと)うて冬の 抗えば
花持つ梅に 鶯も来ず


紅梅の 夢を散らして 涅槃西風 


野良の色 他には無きと 黄染めて
散りゆく後は 川まで奪い


如何ほどに 花びら奪や 気が済むぞ
我に冷たき この菜種梅雨



春や春 寝ぼける里の 野良景色
(黄砂の様子を詠んでみました)


亀の子が 甲羅を干して まどろめば
我も午睡の 夢に誘われ


鹿の子よ 月の無い夜は 気をつけろ
そこに猟師が 罠を置いたぞ


啓蟄を 待てぬ蟄虫 騒ぎ居り


カメたちが 春の来たぞと 甲羅干し
タモ持ち走る ゴリラ忙しや


いそいそと 何処へお出かけ イシガメよ
タモ持ち追うは ストーカーゴリラ


花冷えも 桜ばかりじゃ 芸がない
梅に凍えて 風邪でもひくか


今日もまた 我凍えさせ 菜種梅雨
梅を散らせて 菜の花散らし


一人夜は 凍えて寂し 菜種梅雨
夢に追わんや 君の温もり


しとしとと 寝間まで寒き 菜種梅雨


この夜は 鹿も来ぬかや 菜種梅雨
時は我捨て 軒辺に遊ぶ








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