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あやかしが 集いて騒ぐ 巷では
糞尿の渦に 万象沈み


我は人 あれやこれやに 惑わされ
己失くすも 我は人ぞや


人の世の 奇奇怪怪に 馴染まざる
夢追う我は 異次元の客


木枯らしが 連れ逝く友は 何遺す


遺さんは 数多の夢と 言いたきも
焼け野の春は 花も咲けぬか


一人夜は 更けるしじまに 恋うひとの
笑顔浮かべて 温もり探すや
                  字余り


荒海に 漕ぎ出す舟や 五日月
君と明日を 積み込み行かん



しじま夜は 我と想いら 置き去りに
星連れ往くか 五日月舟よ
                字余り



もの言わぬ 闇だけ冷えて 師走かな


廃れ世は 訃報ばかりの 師走かな


師走夜は 巡る想いに ただ凍え


行く年は 何処の春に 目覚めんや


温もりを 探して山の 鹿は鳴き


雲上に 諍い絶えぬ 政
下界の地獄 見て見ぬ振りで


風騒ぎ 時雨も騒ぐ 師走かな


煩さや 時雨木枯らし 騒ぎいて
想いは我を 捨てて何処ぞ


南国に 初雪降れば 孫たちの
今宵の夢は 雪合戦かな


北風と 仲良くしての 庭仕事
苦行の後に 亀の楽園や
                字余り



カラスさえ 北風避けて またび田に


言の葉が 去りて寡黙の 木ぞ哀れ 







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