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木枯らしに 言の葉散らす この逢瀬
裸の梢 震えるばかり


言の葉も 既に無きかな この逢瀬 
木枯らし吹かば 尚も寄り添い


木枯らしの 連れ来た冬か この寒さ


待ち月を 待てやせぬぞよ この寒さ


我が想い 泳がせたきや 星の海


貧狼の 指さす方よ 君の家


衣無き 木々の凍えて 星月夜


凍えるも 木枯らし眠る しじまには
君を捜さん この星月夜


木枯らしも 泣き疲れての しじま哉


昨夜とは 打って変わりし 木枯らしや
その騒動に 恋慕も消され


君恋うる 熱き鼓動も 木枯らしに
攫われ行けば 想いの凍え


空蝉の 胸に只ただ 木枯らしは


恋うひとを 奪いて吹ける 木枯らしよ
我に如何なる 恨みの在りや


木枯らしの 吹き荒むかな 闇の胸


我が愚痴を 聞いて居たのか 木枯らしよ
少しゃ遠慮も 出来るじゃないか


逢瀬とて かほどに騒ぎゃ 木枯らしよ
甘き語らい 聞こえやせぬぞ


木枯らしよ 幾ら騒げど 恋に酔う
若い二人にゃ 甘き小夜曲









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