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女とは 居待ちに顔を 出す月よ
立ち待ち疲れ 座るに来るや


居待ちとて 君無き里に 誰を待つ


逢うとても 人目忍びて 居待ち月
温もり哀し 欠け行く恋は


時惜しみ 居待ちの闇に 貪るは
明日を知らざる 束の間の恋


木枯らしよ 叶わぬ我の この想い
何処なりとも 連れ去り行けや


来ぬ君よ 寒さ堪えて 居待ち月


居ぬひとを 想い焦がれて 居待ち月


盃に 恋を浮かべて 居待ち月


その膝に 眺めたきかな 臥し待ちの
甘き逢瀬に 顔出す月よ


恋うひとと 眺めて嬉し 寝待月


寝待とて 君を偲べば やるせなく
眠れぬ胸へ 昇る月哉


柵を 捨てて眺むや 臥し待ちの
肌の温もり 妖しき月よ


臥し待ちは 激しき情の 騒ぎ立つ
一夜の夢を 眺むる月や


更ける夜は 臥待月も 夢に欠け


君待てば 枕に昇る 臥し待ちの
想い零るる 夢の逢瀬や


木枯らしや 恋うる想いを 攫い吹き


待つ身には 惨き仕打ちぞ 弦の月
更けて尚来ぬ この淋しさや


願うなら 君への想い 二十三夜


来るまでは 想い泳がす 星の海
四方山重ね 二十三夜月


夢の日々 胸に納めて 二十三夜






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