小石見りゃ 投げたくなるぞ その止水

  波紋の行方 楽しきものと




時惜しや 明日は恋せぬ 蝉たちは

夜の帳を 止めて鳴き居り




雨の中 雪花は歌い 行行子

葦を揺らすや 合いの手入れて




詠うなら 雨の騒ぎよ 里景色

それに負けじと 鳥らの歌よ




背中の子 教えにゃ瀬など 見えぬとか

まさに人類 そのものの歌




狭き世を 我が物顔で 歩く様

さてもおかしや 人間さまよ




夕焼けよ 何をそんなに 燃えるぞや

日向の山の 草木の惨し




夕焼けに 燃える景色や 鳴く虫よ

しみじみ思う 里の安らぎ




言の葉を 失くして眺む 夕焼けよ

今なら神を 信じて良きや




燃えよ燃え 乙女の恋よ 夕焼けよ

短き時ぞ 還らぬ時ぞ




戯れの 短き浮生 成ればこそ

敢えて棘の 道も歩まん




行儀良く 生きよと言いし 亡き母よ

逆らう我は 奔放に生き




ホトトギス 騒ぎ連れ来た 里の朝




セッカ殿 相も変らず 騒ぎ居り

悩める我は 窓を閉ざして




行行子 里野にカッコウ 居ないとて

油断するなよ カラスが狙う




ミンミンと 汗に濡れるや せみ時雨




岩さえも 汗を掻きそな せみ時雨




そなたらが 告げずも夏は 知れるゆえ

ボリューム下げろ 木立の蝉よ




ホトトギス そなたの声も どことなく

品良く聞こゆ 夕べのしじま




十五夜と 言えども月は 満ち足りぬ

明日の望月 想いて眺む








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