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人肌を 恋えば良かろと 小ぬか雨


一雨に 流れて秋の 店じまい


人の世の 侘しさ教え 凍え雨


単には 夢も凍える 雨の秋


一年(ひととせ)が 紅葉と散りて 君の去り


ひと恋いて 一夜契らん 一目ぼれ


人波に 酔いたる我よ げろの川


人伝に 君を案じて 天の川



この雨は 確かな冬を 運び来て


虫たちも 蟄居するかや この寒さ


隙在らば 歌を聞かせや 蟄居虫


蟄虫よ 我の褥は 其に無いか


里山も 櫨(はぜ)が色付く 遠景色


秋雨や 明日は乙女と 逢えるかや


身は凍え 心冷たく 口寒や


不景気や 懐冷えて 夜も冷えて


夜の冷えりゃ 褥の夢が 我を呼ぶ 


恋うひとと 諍いあるや 乙女月
雲間に隠す その泣き顔よ


冷え初めて 乙女の月も 震え待つ


その空は 寒くないかや 乙女月
紅葉褥の 温もりどうだ











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