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散る覚悟 そなたの胸に 有ろうとも
我を思わば 待たれよ紅葉


雨よ雨 紅葉散らせる その様は
親の仇と 言わんばかりに



この雨に 幾つの秋が 去り逝くや


雨風に 泣く泣く落ちる 紅葉かな


秋惨や 情け知らずの 雨に更け


魑魅魍魎 穢れ清めや この雷雨


待ち居るも 雨は止まずや 星出ずや
盃伏せて 秋を諦め


この山に ゴリラ居るぞと 鹿たちは
あちらこちらで 知らせの合図

鹿の子よ 逃げろや逃げろ その山に
腹を空かせた ゴリラが通る 


喧騒を 逃れた夜の 幽谷は
想いを奪い 時さえ止めて


漆黒の 闇に訊ねん 人の性
その営みの 功罪如何にと


物思う 季節とあれば 我もまた
森羅万象 その海彷徨い
          字余り


散る紅葉 しじまに眺め 星月夜


静か夜は 心洗いて 星月夜


山上に 賑わい居るは 星月夜


恋う君と 語りたき哉 星月夜


魅せられて 言の葉失くす 星月夜


行く秋を 泣かせて憎や 木枯らしよ


深閑に 思いも冷えて 暮れの秋


恋うひとの 想い出散らす 紅葉かな


秋空や おどけて鳴ける トンビ哉






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