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恋うる身は 寡黙の闇に ただ溺れ


淋しきぞ 逢瀬の丘は 崩されて
鹿ら何処で 愛を語るや


出歯亀や 夜毎に覗く 天の川
他人(ひと)の恋路と 知りつつ尚も


揚げ足や 鬼の首とる マスコミの
ハゲタカぶりに 本家も逃げる


冷え込みや 庭の歌い手 声も無く
愚痴の盃 室内に干す
 

幽谷や 遊べる闇の 安らぎよ
宇宙の膨張 眺める如に


片恋の 想い凍えて 秋の雨


言動に 今日も穢れる 赤絨毯 


雨風を 知らぬお上の 政
絵に描く餅の 味見に暮れて


憎らしや 秋を奪いし この雨よ
庭の虫らも 鳴く術知らず


月舟を 隠せる雨に 冬潜み


この雨よ 想い侘しく 秋送る


往来に 人影も無き 夕の雨
想い凍えて 街路樹侘し


秋や秋 飽きはせぬかや 秋雨よ
呆れるほどに 厭きに成るほど

あきやあき あきはせぬかや あきさめよ
あきれるほどに あきになるほど



秋ゆえか 空きの心は 開きもせず
厭きと思いつ 呆れて眺む


夜毎に 君への思慕の 膨らみて
月と競うも いつの日満つる


晩秋や 見る聞く言うも ただ侘びし 


秋雨よ 言の葉奪い 君奪い
冬の奈落に 我引き込むや


月帰りゃ 如何に遊ばん この夜長
戯れたくも 相手の無くば


色付けば しじまに散れる モミジ哉








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