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虫歌い 波は囁く 叶崎
君との逢瀬 偲びて一人


星に酔い 虫の音に酔い 叶崎
遠きあの夜に 我は乱れて 


鈴虫や その淋しさを 如何にせん

 
秋の夜は エンマ煩く スズ淋し
ギリとカエルは 祭りの如し


法師鳴き カナカナ笑う 山の道
家路の足を 夕焼け止めて



政治屋の 乱れて久し 政(まつりごと)
民の嘆きは 他山の塵と 


更ける夜は 虫らの歌に 盃も
潤い忘れ 手持ち無沙汰や


愁う世は ドブに蹴りこみ 戯れば
愁い多くて ドブは埋まるや


拒否権や そなた在るなら この星の
平和は夢の その又夢や


美しを 違(たが)えて歩く 道哀し


虫虫の 宴楽しや 酒美味し


盃は 虫らの恋の 夢に酔い


饒舌の 虫を横目に 朴念仁
水辺の酉に 私ゃ惚れたと 

みずべのとり→すいへんのとり→さんずいのとり
つまりお酒の事です。


この夜は 哀れを誘う 松虫の
悲しみ歌に 冬を知れるや


儚さに 虫らも嘆く 二日月
君偲ぶなら 寡黙に沈み


君無くば 想い寂しく 鈴虫の
夜を儚む 哀しみ歌や


虫虫の 恋も数多に 夜の更ける


静か夜は 小雨に歌う 鈴虫の
その哀しみを 如何にせんとて


ただ一つ 鳴く鈴虫の 侘び寂びに
水辺の酉と 我は埋もれて


不景気や 往来淋し 路傍には
虫らの集う 宴の盛り


虫虫に 恋の数多と 在るなれば
口説き文句も それぞれ楽し






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