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いじいじと 何を拗ねるぞ カンアオイ


立待ちの 月に浮かぶは 田の小道
白詰草の 灯す明かりや



片恋の 想い欠け行く 下弦かな
 

燃えよ燃え 緑の海に 乙女らの
夢見る恋や ネムの花かな


燃え尽きて 一つ二つと 闌れるは
昨日の夢か 紫陽花の恋




友偲び 眠られぬ夜の このしじま
名無しの月も 今ぞ泣かんや


老いて尚 妻恋う君は 逝き急ぎ
彼岸の園で 逢瀬に酔うや


酔うとても 我に恋慕の 艶無くば
虫よ蛍よ 盃交わそう


動くなら 汗だくと成り 夏の雨
不快指数も 百パーセント


月無くば 蛍の恋に 便乗し
甘い囁き 其処かしこ哉 


木陰無き 畦道行けば この暑さ
雪花と我の 灼熱地獄


カミナリも 鳴りを潜めし 原油高


戯れど 戯れど尚 奥深く
いつの日悟る 戯れ極意


恋うる夜は 想い急かして キリギリス


舞う蛍 急くキリギリス 鳴く蛙
君恋う我に それぞれの夜は 


月無くも 小川の蛍 空の星
今宵眩き 里の闇かな


鶯や 想いの何処 月と啼く


世は乱れ 人も乱れて 地獄絵図
自由と平和 履き違う故


飽きもせず 欲しがり鳴くや 三光鳥
まるで俗世の 人間模様


閑谷や 鶯のみが 愛語る






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