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紫陽花や 乙女の恋の 色模様
時に移ろい 悲喜こもごもに



移ろうは 雨に濡れ咲く 紫陽花の
花の彩り 乙女の恋や



紫陽花や 心変わりの 切なさよ
月も泣くのか 朧の空に



雨に揺れ そよ風に揺れ 紫陽花は
想いの丈を 誰に伝うや 



想いらを そそと零せる 紫陽花の
その一片に 我もなりたや



耕せと 茅萱人呼ぶ 休耕田



窓外に 我を誘いて 茅萱(ちがや)かな



我呼ぶは 茅萱に栗に 小授鶏よ
焦がれる君は 知らぬ顔とか



天道に 過ち多し 今の世は
北に花散る 南は盛り



その花に 馬も酔うぞや 我も酔う
月も酔うたか 朧に乱れ



語らずも 香りて嬉し 梔子や



叱られて 茅萱俯く 雨の中



夢の野は 小鳥草花 皆歌う
覚めて眺める 梅雨の侘しや



侘人が 秋を待つかな 竹煮草



ちらほらと ムクゲ迎える 山の道



物言わず 耳目楽しむ 里景色
少なき人も 煩わしくば



里の夜は 野良に楽しむ 我のもの
蛙に蛍 アオバズクまで



どうすらや 雪花の騒ぐ 夏来たぞ



帰るとて 雪花と我の この違い
同じといえば 悩むところよ


雪花は多くの妻にそれぞれの家があります。
私の帰るところは一所だけです。
雪花はどの家に帰ろうかと悩み
私は帰りたくなくて悩むのです。笑








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