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現世とは 夢幻の シャボン玉
ノミのくしゃみに 砕けて散らん



しがみ付きゃ 捩れて哀れ シャボン玉
元の己は 跡形も無く



恋うれども 移ろう影の シャボン玉
何を愛した 過ぎたる日々は



いつの世から 恋うる言の葉 芽生えたぞ
白亜の森じゃ 見た事無いに 
             
by白亜紀の生き残り



降りしきる 雨の階段 駆け上がり
雲のベンチで 星見の逢瀬



降る雨に 夏を知りたる 窓のそば



雨ぞ雨 風も蛙も 消し去りて
我も何処に 連れ去るものや



しじま夜は 遠くに歌う ホトトギス
共に凍える 蛍と聴くや



皐月闇 覗く我が身 誘いて
蛍の一つ 妖しく舞うや



月無くも 夜鳴き鶯 不如帰
アカペラ蛙 皆騒ぎ居り



この闇に 君を探して ただ一人
彷徨い舞える 蛍の哀れ



君故に 命燃やすや 蛍恋



この雨に 我を慰む 里の夜
野良の蛙に 土間のエンマよ



じわじわと 真綿で首を 絞めるかや
神ならぬ上 目先に酔えば



水足るを 知って居ながら 尚更に
今日も勤しむ 我田引水



何やかや 理由を付けての 原油高
闇のあちこち 笑うは誰ぞ



三日月や 友の御霊を 運ぶなら
無事に届けよ 補陀洛の国



其処かしこ 色も豊かに 紫陽花の
ボンボリ歌う 雨の野良かな



栗花の 香りに酔うや 舞い蛍



時惜しみ 今宵も恋うる 蛍かな



宴とて 蛍群れ舞う 月の影







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