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海髪るゆえ 海鼠腸しとて 海星なし
海松海鼠とは 海豚要らぬか 

おごるゆえ このわたしとて ひとでなし
みるなまことは いるかいらぬか




足元を 染める花びら 愛おしく
佇み仰ぐ 十三夜かな



月さえも 朧に泣くや 花も散る
君去る夜を 如何に過ごさん



居ぬ君を 立待月の 野に待てば
風が攫うや 我が恋心



居ぬ君よ 心も欠ける 立待ちの
野辺に彷徨う 想いの哀れ 



花冷えや 居待ち月さえ かくれんぼ



雨音と 蛙の歌に 包まれて
君を偲べば 宵闇甘く



更ける夜の 雨音寂し ひと恋し
虚ろに凍え 眠れもできず



足元に 花びら愛でて 君待てど
臥待月の 恋の切なや



君待てど 薄情ものか 二十日月
想いを知るに 顔さえ出さず



里の夜は 騒ぐ蛙に ただ更けて
月無き空を 未練に眺む



佐保姫の 笑顔嬉しや 野辺景色



佐保姫と 逢瀬の野辺よ 春の夢



皐月闇 彷徨うような 三回忌
去るもの日々に 疎しと聞くも



子等集い 母を偲ぶや 三回忌


五月雨に 誰を恋わんと 独り酒



皐月夜は 蛙の歌に 誘われて
花の香りは 夏と成りけり



更ける夜は 雲の間に間に 星たちが
顔出し聞くや 蛙の歌を 



片恋は 風に揺られる アネモネの
花の言葉と 知りたるものを



星空に 命を想う ひと時は
宇宙の果ても 我が掌に


花の香を 君へ届けん 三日月夜







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