ユーレイや そなたと居たい 夏の夜




クーラーに 恋をするかや この暑さ



夏の夜は 墓地の涼しも 蚊が多し




夜も更けて 尚も奏でる 虫たちの

  命の歌よ その哀しみよ





樫西の 浜に夏来し 磯の香が

  風に託して 我誘わんや





一日を 忘れて星の 夕涼み




月無くも 虫らの歌に 包まれて

彼岸に咲ける オニユリ愛でん




涼風や 虫の音運び 吹くなれば

 ユリの香りも 忘れず持てよ





焼ける陽が 海の彼方に 去りし今

 そなたらの夜 歌えや虫よ




月無くも 嘆くまいぞや 月見草

 そなた慰め 虫は歌うや





野辺に寝る 我が頬濡らす ひとしずく

  月見の花の 零す涙や




庭の草 土間の片隅 天井に

夜更け構わず 鳴くコオロギよ




この暑さ どこかに貯めて 冬使い


銀行よ 暑さ貯金は 無いのかや


冬に成りゃ 引いて使うに この暑さ







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