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アイカモの つぶらなひとみ そのさきに
ネギまといたつ タレのうかぶや  




空までも 染めて静かに 黄砂哉




灼熱の 過ぎたる夜の 極寒に
夏や冬やと うろたえ候




下々の 苦しみ知らぬ 政治屋の
為にあるかや 御政(おんまつりごと)




東風吹かば 匂いおこせよ 山菜ら
忙しなきとも 訪ねて行くに




戯れば 闇夜に月も 昇るとか
冬にユーレイ 踊りだすとか   




闇冷えに 白梅浮かぶ 星月夜




昔流は それ位では 死にやせん
今は蚊が刺しゃ 救急車呼び




小春日や 行列揃え 医者通い
やがて苦しむ 老い人哀れ




足元で わずかに伸びる ゼンマイや
待ち侘び居たぞ 食の春来た




三日月の か弱く浮かぶ 暮れ景色
梅の一片 舞うも淋しや




その空に 独りっきりかや 五日月
眺める我も 野辺に一人ぞ




散り際の 潔しかな 椿花
闌れ嫌いて 自ら逝くや




春雨や ポトリと友の 涙雨




千年の 恋にぞ燃えて 咲くきのふ
焦がるる情に けふ散り逝くや




朝靄と 黄砂の中や 里景色


雨音に 水を恋うるや 鴨のヒナ




そのあまり 美しなれば 乙女月
我が眺めて 善きか悩むぞ 




はにかんで 尾根に顔出す 乙女月
その美しに 浮生は隠れ




薄雲の 布団の中や 夢見月









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