北風も 塒に帰る この夜更け
しじまの中に 凍えて遊び




深々と 凍える里の そこかしこ
温もり追えば 切なきばかり




更ける夜は ストーブに出す 三行半
布団に送る この恋文よ




うっすらと 化粧の寒や 庭の霜




寒や寒 月も凍えて 雲の中
戯る我も 囲炉裏の番よ




深々と 凍える闇の 静けさや
戯る我は 一人で遊び




顔出せば 尚凍えるや 寒の月




寒空に ひとり凍える 寒の月




枝々に 蕾開けど 梅の花
冷たき雨に 凍えるばかり




梅の花 下向き咲くや 上向くや
米の出来栄え 気に成り候




立待ちの 月も凍える 里の夜
震え待つ身に 君の笑みなし 




野良仕事 今日も邪魔する ジョウビタキ
一鍬ごとに 手を止め眺む




去る君を 想えば騒ぐ 片恋の
春の嵐よ 木立の惨や 




如月は 抗う冬の 騒ぎいて
梅花散らすや 桃花散らすや




如月や 臥し待ち月を 待つ身なら
着更着さらに どてらも羽織




陽射しにも 確かな春の 恵みあり
花らも香る まどろみの野辺 




静か夜は 寒に沈みて 月さえも
出るを厭う(いとう)て ただ暗き哉




この夜は しんと冷え込み 星たちの
トゲある噂 身に沁みる哉




唐土を 出でし黄砂の 辿り着て
里の景色に 趣添えん




更ける夜は ただ鎮まりて 異次元の
果て無き闇に 我のみ遊び 










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