偲ぶれば
五月雨呼ぶや
彼のひとよ

彷徨う我は
しとどに濡れて




夢の野も
今宵は雨が
降るそうな

君の頬にも
流るるそうな




恋うるなら
月さえ甘く
囁くも

小夜の嵐は
夢さえ奪い




柵を
一つ二つと
解くならば

やがての世には
仏となりて




散るなれば
刹那に酔えや
椿花

未練留めぬ
そなたの決意




白鷺よ
凍えやせぬか
その足は

冷たき雨の
苗の田に




君想い
星降る野辺に
恋待ちの

儚き花は
焦がれて咲くや




降る星を
宿して咲くや
鈴蘭の

零す涙よ
少女の恋よ




曇天に 烏鷺の集いし 苗の田は



行儀良く 蛙の歌を 聴く苗や



梅雨来たと 蛙賑わう 我の里



蛍らは しじまに忙し 恋の夜



束の間に 語れよ舞えよ 恋蛍



そこかしこ 蛍の恋に 君は酔い



その姿 陽射しに探す 窓の恋



紫陽花や 君の想い出 濡らす雨



ブランコに 揺れて妖しや 恋心 



泡沫の 夢と消ゆるや 蛍恋



君の香に さざめく波や 我が心



この愛は 蛍と舞いて 闇に消ゆ



軒下に 燕の夫婦 愛語り



忙しや 雪花の恋は 分刻み



里山へ そろそろ来ぬか アオバズク









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