老いの身は
友の旅立ち
多くして

酒と語るや
彼岸の暮らし




雨よ雨
遠慮は要らぬ
降りに降れ

どうせ今宵は
月の無い夜




静けさや
二日の月は
既に無く

皐月の闇に
誰を偲ぶや




戯れば
皐月の夜は
蛙らの

歌に合わせて
ただ更け行くや




三日月を
追って来たのか
鹿の子よ

諦め帰れ
そこから海ぞ




静けさや
名も無き月の
泣くような

朧明かりに
君の影追う




この胸の
しじまに届く
咽び泣き

名無しの月よ
何が哀しぞ




深ける夜は
朧の月に
風さえも

動くを忘れ
見上げて候




名無し月
朧に零す
その泪

乙女に似たる
風情の妖し




偲ぶれば
朧の月に
浮かびくる

花散る中に
別れしひとよ




行く春に
君への思慕を
託せれば

花にくるみて
風が運ばんや

字余り




更ける夜は
名無しの月も
寝たゆえに

暇(いとま)を乞うぞ
庭の虫らよ




還るなら
何を厭わん
我なるも

無情の時は
去り逝くばかり




山ですら
呼べばこだまの
在りしもの

何故に還らぬ
君の言の葉




雲の間に
顔出す月の
愛しくて

悪戯天使
君を想うや




留守の間に
着ぐるみ一つ
どこ行った

今頃街は
ゴリラ騒ぎか?




シンデレラ
靴忘れたる
その気持ち

我は分かるぞ
アシックサ故に




月去れば
皐月の闇に
鳴く虫の

一つ二つと
聞こゆ風情よ




降る成れば
さっさと降れや
夏の雨

勿体つけて
何を気取るぞ




賑わいも
淋しや蛍
如何した

もしや女衒に
連れ去られしか




浮生捨て
静けき山の
その闇に

溶け行くなれば
仏と成るや










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