恋うるなら 嬉し恥ずかし 乙女月

 菜種の空で ベールに隠れ




月奪い 花びら奪い 菜種梅雨

 君待つ我の 願いも奪い




哀しぞや 山村廃れ 老い人が

 寡黙に灯す 三椏の花




月よ星 騒げよ騒げ この夜に

 菜種の雨も 一休みとか




我に似て セピアの似合う 里景色




三椏の 花の香りの 静けさよ

そこはかとなく 気品に満ちて




空に月 地には三椏 灯る里

 鹿も風情に 時おり鳴くや




三椏は 静かな里に 咲いてこそ

 その美しさ 我を酔わすや




はらはらと 恋も朧の 十三夜

 君の姿を 菜種と待ちて




蛙さえ 見上げて恋うる 乙女月

 その美しに 歌うを忘れ




シトシトと 菜種の花を 泣かせ降る

 雨よ心が 痛みはせぬか




この雷に 孔明何を 見出して

 地雷火作る 図り難しよ




おらが夜と 自惚れ上る 満月も

 雲に泣かされ 顔も歪むや




夜も更けりゃ 足が臭いと シンデレラ

 靴を投げ出し お家に帰る




子供らの 声一つ無き 廃校よ

 桜に埋まる 風情の哀れ









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