雨音に 閉じ込められし 夜は更ける

  菜種の花に 逢いにも行けず




今日も又 サメやイルカに 咬まれつつ

  一刀彫りに 溺れる我よ




見上げれば 朧の月の 泣くように

   人肌恋し しじまの夜よ





月でさえ 別れを告げる この夜更け

  ゴリラも寝間へ いざ眠らんや




君無くば 月も凍えて 十三夜




明日あたり 台湾坊主 暴れるか

雲が走れば 月の忙(せわ)しや




立待ちを 待てば凍えし この寒さ

 君待つ程の 魅力は無けり




行く冬の 置き土産かや この寒さ




臥し待ちの 君を待つなら ただ凍え

 明日は床臥す 身の上哀れ




しんしんと しじま夜更けて 我の里

  星の囁き 降って来そうや




星々よ 声を潜めて 何騒ぐ

 乙女の恋が 羨ましいか




一刀に 邪念削りし この朝よ




花桃よ 梅は散ったぞ もう良かろ

 その艶やかさ 見せてくれぬか




恋わんとて 冷たき雨の その中に

 闌れる花の さても哀れぞ




静か夜は 冷たき雨を 盃に

酌みて浮かべし 初恋の日々




寒や寒 花は咲いても 春何処

 南の島で 道草食うや




春なれば 戯れんとて この寒さ

  蟄虫真似て もう一眠り




月は無く 雲とて無くば 星たちよ

 世間話に 花を咲かせや




老いの身は 欲しくは無きぞ 何事も

  戯る心 在れば善きかな




静か夜に 月星無くて 虫も居ず

  我を慰む 桃花一輪












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