宵空に 三日月舟は 凍え往き




冷え冷えと 視界を包む 霜の朝




目を閉じりゃ 睡魔の甘く 囁きて

 沈み往くかな 快楽の海




深深と 心冷やして 霜の雨




上を向き 咲くは恐ろし 梅の花

 下向き咲くも ため息出るや




霜の中 独り温そな 枯れ尾花




温もりを どこに忘れて 時雨かな




静か夜は ただ寒きかな 更けるほど




行く年を 偲べば里の 其処ここに

悲喜こもごもが 漂い居るや




雲無くば 月の余りに 輝きて

哀れオリオン かすみて候




行く年や 残せし夢の 影何処




来る年に 何探さんや 月明かり




この月は 年の移ろい 知らぬげに

  ただ天空を 漂いてあり




行く年も 亦来る年も 照らし居る

 月よそなたの 夢は何ぞや




亥の年や 古人の 言う事にゃ

 備え忘るる 事無かれとか




西空に 月を愛でるも 去り往きて

  東の空に 昇る初日や




正月ぞ 振袖見せや 乙女月

恥ずかしとても お披露目せぬか




正月を あれこれ言いし 偉人たち

 我に言わせりゃ 昨日の続き




祝い歌 詠えぬ我の 正月よ

 寡黙に溺れ 想いに篭る




三が日 過ぎりゃ呼ぶ呼ぶ 甘い声

  猫にマタタビ 我にお山よ











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