その空も 凍えて居るか 木の葉月

   眺むる我に 待ち人も来ず




音も無く 庭を濡らすや 時雨月




そなたまで 傘をさすかや 時雨月




うっすらと 月に浮かぶや 野辺の木々

  葉を持たざるも 風情と眺め




月よ月 余り高くに 上るなや

 眺むる我は 首が痛いぞ




雲の無き 空で威張るは 木の葉月

 名だたる星ら 霞みて哀れ




神無くも そなたの在りや 木の葉月

  夜の世界を 隅まで照らせ




歩くなら しじまの森の 木漏れ月

 足元照らし 誘(いざな)うように




小春日も 日陰に冬の 寒さかな




木枯らしよ そなたの声は 木に惨き

  尚も奪うは 如何な気分ぞ




夜もすがら 猛る神かや 木枯らしよ

 地表のすべて 奪うが如く




木枯らしに 心脱がされ 囲炉裏抱き




正月が そこまで来たに クツワムシ

ガチャガチャ騒ぐ 想いの如何や




街路樹が 居場所探すや 木枯らしよ




戯れに 更け行く夜の 冷たさよ

  凍えて詠う 三十一遊び




霜の空 かき分け進む 二日月

  舟の舳に 温もり求め




静か夜は 只ただ冷える 霜の月




早々と 月去る空の 星凍え













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