木枯らしや 鬼の子揺らし 子守歌




古に 想いを馳せる 独り夜は 

世の憂いなど 消して楽しや




音無くも 身に冷え入るや 冬の雨




幽谷に 今宵は水の 音のあり

冬を連れ来る 雨が降るゆえ




しじま夜は 我が家も眠る 時雨月

 星の一つも 遊びに来ずや




落ち葉打つ 雨音寒や 窓の外




せせらぎは 暴れて行くや 雨の後

 かつての風情 どこに忘れし




奥山は 雨に洗われ 別世界

 霧に煙れば 風情も増すや




雲の間の 月よ星らよ 輝けや

 嵐が去れば 我らの時ぞ




五日月 川面に揺れて しじま哉




雪の中 ポツリと立つは 何の木ぞ

  言の葉無くば 雪も寄らずか




冬来たと 木枯らし歌う 里の野辺




木枯らしや 乙女の恋にゃ そっと吹け




老いの身に 情け知らずの 木枯らしは

  涅槃へ逝けと 急き立てる哉




木枯らしや 言の葉奪い 騒ぎ居り

  歌に溺るや 寡黙な我は




嬉々として 風車の回る 木枯らしや




侘しさが 溢れる夜の 木枯らしや




木枯らしが 騒げば木々も 誘われて

  宴の中に 木の葉舞わすや




この空に 寒さ知らぬや 乙女月

  笑みを零して 誰誘わんや




雲たちの 声も無けりや 十三夜

  その輝きに 見惚れし我も










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