野伏せりの 如きぞ我は 山を往き

 星を見上げりゃ 歌人と成るや




静けさや 木枯らし眠る この夜は

  星の海原 彷徨い往かん




密やかに 愛を語るや 星たちの

 口説き文句を 聞きたきものよ




黙すれど そなたの頬は 紅染めて

 誰を恋うるや 木枯らしの中




夜毎に モミジを染める 寒さかな




木枯らしよ そこまで騒ぐ 訳何ぞ




木枯らしや モミジ染めるは 良いけれど

  しじま好みし 我困らすな




ヒューヒューと 休む間もなき 木枯らしよ

  いつまで騒ぎゃ 静まるものぞ




文句言や 尚も騒ぐや 木枯らしは

  我と同じで どくれのモノか




木枯らしも 今宵は疲れ 休み居り

  しじまに星と 何語らんや




星の海 火の玉流れ 落ち行くは

 補陀洛渡海 足摺の先




恋うるまま 散るは切なき もみじ哉




更ける夜に あれこれ想う この一年

  我は何某 詠えしものか




この雨に 君の紅葉は どこに去る

  彼の人忘れ 川を流るや




密やかに 何を語るや 星たちよ

 そこな乙女の 恋に妬くかよ




寛ぎに 星を見上げりゃ 何浮かぶ

  愛しきひとの 囁く笑顔




月無くば 星のざわめき この山に




星々の 囁き耳朶に 眠る山

今宵の夢は 雪に埋もれて




言の葉を 持たぬもみじに 恋のあり

 黙して焦がるる 我もあるぞや

字余り




夕焼けの 布団に眠る 姫の島

 我が古里よ 沖ノ島かな




この夜は 心冷たき 冬の雨

君への恋が こごえるばかり




一雨に 木の葉散lりゆく 寒さ哉










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