彼岸花 九首

その紅は 何を語るや 彼岸花

 言の葉無くば 尚も妖しく




艶やかに ただ艶やかに 彼岸花

 野に咲くなれば 尚も嬉しき




美しや 淑女の花よ 曼珠沙華

 黙して居ても 我を酔わすや




浮生では 息も出来ぬぞ 彼岸花

 その生き様を 羨み眺む




彼岸花 そなたが野辺に 咲く訳が

 少しは分かる 歳と成りしか




雲無くば 何を掴まん 曼珠沙華

  紅細き その手を伸ばし




恋風に そよと揺れるや 曼珠沙華

  華麗に咲けど 心は乙女




その美貌 眺むる我は 酔い痴れて

 只ただ恋うる 彼岸花かな




その想い 燃えたつような 情熱で

 誰を恋わんや 彼岸の花よ





朝風や 日ごとに秋の 深まりて




秋空や 庭の風車も 嬉しげに

 風と戯れ クルクル回り




彷徨うも 果てすら見えぬ ネット海

 想い悩むな 気ままな旅よ




天高く ゴリラ喜ぶ 食の秋




戯れに 心詠えば 気も晴れる

 悩みなんかは 歌に蹴りこめ




ノンビリと 回る風車も 黄金染め

 秋の夕日は さも誇らしげに




蜜月も 遠く霞めば 糠漬けが

 その手に香る 古女房かな




朝夕は 紛う方なき 秋なるも

 日中は夏が 抗いてあり




面談や 倅の教師 その前で

天使と成るや エンマと成るや




この風よ やがて木枯らし 連れて来て

  温もり奪い 言の葉散らす





三日月よ 気を付けそこに 風車立つ

 ぶつかったなら ちっくと痛い














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