涼風は 君の笑顔と 虫の音を

 今宵も我に 連れ来たる哉




ガマの穂は メトロノームか 風に揺れ

  奏でる歌は 小鳥のワルツ




縁側に 蚊取り線香 スイカあり

 されど主役は こよりの花火




夏の夜は ネズミ花火よ 避けるふり

 して抱きつくや 愛しいお方




華やかな 花火は先で 大騒ぎ

後は静かに こよりの花火




チロチロと 燃えて咲くかや ネムの花




小さき火も 枝に集まり 天焦がす

  乙女の恋よ ネムの花かな




七色の 光走れる ネット海

迷子の舟は 何処に流れ




愛の歌 奏でる虫は 草の上

月の明かりに どなたを探す




恋音痴 堕ちるは君の ラビリンス

  姿探せど 声のみ響き




人の世の 儚さ説くや ホトトギス




人の世の 無常に流る 終い梅雨




神さんよ そなたホントに 居るなれば

  戦争なんて 消してしまえよ




揚揚と 田んぼに向かう コンバイン




虫々が 棲家追われし 稲刈りや




人は人 我は我ぞや この浮生

  生まれも違う 青山も別




古里の 青山想う 歳と成り




日陰より 苦情で見あげ 夏の空





薄闇に 妖し白花 藪茗荷




星々も 雲を祓いて この夜に

 思いの限り 輝きてあり




焼ける陽が 沈めば虫よ さあ歌え

 今宵は星も 輝きてあり




涼風や 虫の音運べ 君の元








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