奥山に 道路工事と 思いきや

 啄木鳥集い 愛語るかや




近頃は 声も聞こえぬ アオバズク

 どこかに彼女 見つけ行ったか




月無くも 星はあるぞや 月見草

たまにゃ彼らと 語ってみぬか




夜更かしの 蛙の声は 子守歌

  眠れ眠れと 甘く歌うや




恋と咲き 風に吹かるや ネムの花




声無きぞ 風邪をひいたか 不如帰

 それともそっと 卵を産むか




不如帰 そなたに代わり 行行子

 負けじと騒ぐ 葦原の中




偲ぶれば 大正ロマン 遠き世よ

  心の世界 夢の世界や




生まれしを 遅きが悔し 我成るや

 この手が求む 大正ロマン




夏の陽に 焦げたか雀 顔黒し

帽子被れよ 日射病に成るぞ 




生在らば 不殺生など 成り立たぬ

  米の一粒 嘗ては生きて




静(しんず)かに 花を愛でるも 武士は

   猛る心に 明日を思わん




我が里も 水墨画ぞや 雨上がり

  煙る棚田の 佇まい哉




恋う花は 昨夜の夢に 尽きてあり

 今宵の夢に 膨らむもあり




鹿走る 小綬鶏走る 山の道

 我は風情に 浸りて歩く




更ける夜に 静かに降るや 五月雨は

   君を奪いし 病魔の如く


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