チクリとぞ 世間を刺すや 神も刺す

 バチが当たれば それすら刺して





青春は 幾つに成っても 青春よ

  心の若さ 失うまでは




雨の音 聴こえぬ程に 細けれど

  走る車は 正直に告げ




如何にして 詠わんやこの 里景色

 雨雨雨に ただ埋められて




雨のため 里の全てが 在るようぞ

 田畑も野良も 我の心も




そこにだけ 彩りあるや オニユリの

  誘う仕草に 心浮き立ち




夕暮れや 雨も疲れて 一休み

  時を逃すな 虫らよ歌え




夢の野に 君と戯れ 遊びたき

なれどこの雨 夢も見せずや




更ける夜に そぼ降る雨や 泣く蛙

 虫の音無くも 独り酒酌む




酌む酒の 匂いにつられ 虫たちは

 そぞろに鳴きて 風情に酔うや




雨歌え 蛙よ歌え 虫歌え

 今宵の客は 我一人とて




夜も更けて 寝間が我よぶ 夢が呼ぶ

 虫は引きとめ 悩めるけれど




そこかしこ 虫の音聞こゆ 寝間の中

  贅に包まれ 今宵の夢へ





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