煙るなら 想いも隠せ この雨よ

 君が偲ばれ 切なき我ぞ




潮風と 星の雫に 眠る花

あしたの恋は どなたに咲かす




虫たちを 酔わせて香る 富貴蘭

君に見せたき 至福の花よ




足摺に 樫の木蘭を 訪ぬれば

どこで咲くやら フウ蘭香り




釣竿を 担いで歩く 深山は

足元見ずに 上ばかり見る




庭の木に フウラン眺め 酒酌めば

  風情の極み 味わい候




更ける夜に 雨も上がりて 虫は鳴き

 やがて鳥らも 騒ぎだすかや




虫の音を 枕に聞きて 明かり消す

 里の夜更けは 平和に満ちて




山々は 煙に隠れ 梅雨の里





人の世は 日々の移ろい 忙しなく

 風情楽しむ ゆとり無きとか




人ゆえに 作られし神 ばかりぞや

 ご都合主義の 小間使いかな




甲高く 存在知らせ 鳴く雪花

その忙しなさ 我もつられて




里景色 梅雨のしじまも 風情かな




梅雨の間に 騒ぐカラスは 小鳥らの

  卵狙うぞ 留守をするなよ




カラスとて 喰わねば生きて 行けぬもの

   惨いと騒ぐ 人の哀れか




小鳥らが 咥えた虫の 身の上や

  哀れと思う 人とて無くば





夜も日も 鳴き続けるや 行行子





早よ暮れや 庭のフウラン 香り無く

 眺め居るのも 詰まらなきぞよ




ナゴ蘭よ 枝にもたれて 花垂らし

  咲ける姿は そなたが一番




ホトトギス 托卵終えて 里去るや

 そなたの声を 久しく聞かぬ




カラスさん そなたが鳴けば 小鳥らが

   葦の茂みに 隠れてしまう




今までは どこに居たぞや カラスさん

  卵の匂い 嗅いで来たかよ




雨上がり 今宵はどこで 遊ぼうか

  蛍も善しや 花も楽しや









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