ウグイスよ 呑気にそこで 鳴き居るが

  留守に誰かが 卵を産むぞ




雨よ雨 降らにゃ暑いと 叱られて

 降れば月見の 花に恨まれ




宵の雨 日中(ひなか)の名残り 冷まし降れ

  寝間に涼風 運んでくれや




ザァーザァーと 庭を冷やせや 屋根冷やせ

   宵に降る雨 有り難きかな




涼風を うちわで送る あの風情

 味わいたくも うちわすら無く




涼風に 風鈴鳴らし その下で

 語りしひとよ 今は何処に




雨の間に 鳥ら忙しく 飛び回り

 時を惜しみて 囀り居るや




山の道 背伸びして咲く ウバユリは

どなたを待つや しじまの中で




ウバユリよ そなたに色気 有ったなら

 今の安らぎ 有りもすまいに




その数で 噂話に 花咲かせ

ゆえに呼ばれし ウバユリの名で




雨の中 鳴くはウグイス 行行子

  時折届く 雪花の声よ




肌寒き 雨が降るぞや この野辺よ

 それでも咲くか 月見の花は




強き香に 巨木見上げて 探せれば

 見事に咲きし 富貴の蘭は




庭の木に ナゴ蘭咲けば 酒を持ち

  蚊に喰われての 観賞会や




その香り 風に運ばれ 来るならば

 探しに行くぞ 富貴の蘭よ




星空に 手を伸ばすかや 大木の

はるかな上に 咲くセッコクは




星々が 巨木に宿る 山の上

 竹蘭白く 風に瞬き



その香り 星に届けと 高枝で

咲き誇るかや 富貴の花は





富貴蘭 愛でて香りて 楽しめば

 耳に優しや アオバズクまで






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