詠むならば 花鳥風月 宜しけり

  されど巷を 詠うも楽し




戯れに 虫を真似てぞ 鳴いてみりゃ

  草のあちこち 侮蔑の視線




陽が落ちりゃ 安らぎの中 コオロギが

  それぞれ歌う 自慢の喉よ




宵の雨 窓から涼が 飛び込むや




突然の 雨に虫らは 押し黙り




灼熱や 解き放たれて 宵の雨




雨行けば またぞろ鳴くや 虫々よ




歌うのは コオロギたちと キリギリス

 鈴虫出るにゃ 少し早いか




虫たちよ 田んぼで騒ぐ 蛙らに

負けじと鳴けば 酒は美味しぞ




それぞれに 違う言葉で 鳴く虫よ

意志の疎通は 出来て居るのか




月は無し 星も捻くれ 隠れるや

頼みは虫よ そなたの歌ぞ




雨憎や 虫らの歌を 奪い去り

バケツ叩けば 風情も冷める




世の中を 憂いたとても 何に成る

 所詮は人の 住む世界ぞや




雨よ雨 夜を奪って 如何にせん

そなた騒げば 自棄の酒酌む




我が心 酌めば立ち去る 夜の雨

  虫ら歌えや 我は酒酌む




今宵また 戯れ遊び 堪能し

 枕恋しき 時と成りけり




朝の梅雨 山も煙りて 顔隠す




雨の中 今朝も騒ぐや 行行子




朝霧は 山の麓に たゆとうて




山の雨 寛ぎ眺め 飲む珈琲




佇めば 香り運ぶや 海の風




コジュケイも 騒ぎ始めて 雨上がり




人の世に 欺きありし その心

貧しさ過ぎて 救い難きも








inserted by FC2 system