ジイソブよ バアソブの顔 見えぬけど

 ケンカなどせず 仲良く咲けや




枕元 目覚まし時計 要らざるや

 雪花の鳴ける この電子音




夏や夏 激しき恋の 季節ぞや

ネムの花さえ 燃えて咲き居り




雨上がりゃ 情け知らずの 太陽が

 夏雲連れて 我が物顔ぞ




雨上がりゃ 鳥ら初めは 喜ぶが

 やがて焼かれて 声も無くなり




身を焦がす 夏の陽射しを 避けるよに

 木立の中で ジイソブ咲くや




陽が陰りゃ 騒ぎ出すかや 行行子

 名前に似あう 奇声を上げて




灼熱が 山に隠れりゃ ウグイスよ

 そなたの声に 命洗われ




セッカ殿 日がなひんどし 忙しげに

 鳴くや飛ぶやに 残業までも




戯れの 味を知らぬか 皆の衆

 重く生きても 浮生は浮生




里の夜の 平和を破り ホトトギス

 又しばらくは 騒ぐつもりか




鳴くならば 賢者の鳥よ アオバズク

 静かに諭す そなたの声よ




更ける夜に 鳴ける鶯 その声よ

どこか哀しく しじまを破り




蛍舞い 星が顔出す 夜なれば

 趣ありの アオバズク哉




時の間に 星の隠れて 雨ぞ降る

 無惨に濡れて 蛍捨てしや




あれ程に 晴れて居たのは 幻か

 恋の灯消され 哀れや蛍




恋の灯を 消された蛍 言うことにゃ

  神も仏も 居らぬものかや




雨の中 それでも鳴くか ホトトギス

 何がそなたを そこまでさせる




黎明は 小鳥の声に 連れられて

 彼方の山に 顔を出し居り




似非モノを 詠んだ所で 我が心

 哀し成るゆえ 本物求め



電線に 並ぶスズメの その前で

セキレイ振るや 尻尾のタクト




夕闇や 今日の主役の 行行子

 声を嗄らして まだ騒ぎ居る




目覚ましの 音に似たるや 鳴くセッカ

そなたは朝に 鳴くだけで善い





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