人は人 我は我ぞと 歩く道

  棘断崖 咎までありや




賑やかや 囁き草の 出迎えは

 森の祭りと 惑わすほどに




秋風が 吹き始めれば タケニ草

 名前を変えて 囁き草と




虫たちの 恋の囁き 子守歌

 眠れ眠れと 瞼に聞こゆ




恋歌が 我に優しや 子守歌

 朴念仁の 真骨頂よ




緑作す 野良の景色よ 里の朝




葦揺らし 今朝も騒ぐか 行行子

負けじと雪花 鳴き鳴き飛ぶや




人故に 賑わい在るは 善しとても

  人故乱る 浮生の哀れ




この心 哀しきばかり ものなれば

 菩薩といえど 如何に救わん




三界に 家無き身でも その内に

 秘めるや宇宙 神さえ宿し




浮生には 戯れ遊び 多くして

 殺伐したる 我を潤し




何以て 瞑すべきぞや この浮生

 つらつら想う 今日この頃よ




想うなら 何を為したと 言えるぞや

 生まれた事が 既に戯れ




アヤカシが 文句を言うぞ 愛と恋

 元を糺せば 同じムジナと




目を閉じて 愛や恋やの 歌を聴く

 それも楽しや 虫鳴く夜は




人の恋 遊び心で 出来るとか

 虫らの恋は 命を削り




何怒りゃ 斯程の顔に 成れるぞや

在られも無きぞ オヤマボクチは




花とても それぞれ在るは 承知ぞや

 なれど驚く オヤマボクチよ




海離れ 浜撫子の 咲きてあり

 抗えぬ身は 人に攫われ








inserted by FC2 system