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奥山に 訪ね行くなら アオバズク
今宵は何を 教えてくれる



戯れば 鶯さえも 我笑う
ケキョケキョケッキョ 腹を抱えて



フクロウと アオバズクとの 問答に
我が悩めば 河鹿が笑う



君恋うる 想いの泳ぐ 星の海



その笑顔 夜々に浮かびて 星の海



儚きは 万物宿す その命
雨に流るや 風の攫うや



恋うれども 尚恋うれども この雨に
想いの流れ 泣く蛍かな



陰陽が 暑や寒やの 鬩ぎあい
我と蛍は 戸惑いて候



蟷螂は 芒種に秋を 知りたるに
凡人我は 夏さえ知らず



恋うひとを 求め彷徨う 皐月闇



行かんとて 月(ふね)無き我に 星の海
あまりの広き 諦め眺む



今宵また 眺めて哀し 星の海
その面影の 変わらぬもまた



そなたらの 恋は如何にぞ 田の蛙



星の海 数多の恋の 漂いて
一つ二つと 流れ消えんや



逢瀬とて 蛍居らねば 間が持てぬ
要らぬ算段 する苦労かな



寛ぎの 夕餉のしじま 破るよに
雪花の騒ぐ 風情も善しや



趣の 楽しくあるや 我が里は
雪花に暮れて 蛙に更けて



蛙らの 恋騒動に アオバズク
ホッホーホッホーと したり顔かな



満ち足りて 夜のしじまに 酌む酒よ
時折鳴ける 鶯も善し



朝寝坊 したくも出来ぬ 行行子
そなた騒げば 夢も破れし









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