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しとしとと 想いの内を 煙らせて
別れしひとの 今日も降りけり


月無くば 小雨の枝に 鶯は
誰を焦がれて ひとり鳴くやら


煩きは 夜も更けての 不如帰
君への想い 欠くまで鳴くか


夜もすがら 蛙の歌よ 雨の音
我は想いに 彼のひと浮かべ


飽きもせず 尚も元気や 不如帰
雨を厭わず 夜更け厭わず


雨音に 浮世隠れて 我の夜 


夜隠し 世間を隠し この雨よ
独り沈まん 皐月の闇へ


夜に日に 一つ覚えの 不如帰
欠けた欠けたは ぬしの眠りか


夏の陽や 焦げた焦げたと 鳴き違(たが)え
蛙の笑う 不如帰かな


近年は 夏の激しと 感じるが
温暖化かや 老化故かや


低かれば 眺めて善しや 菖蒲月
雪花の影が 浮かぶも嬉し


菖蒲月 眺めて一句 ひねらんと
しきりに唸る アオバズク哉


満月や 蛙に蛍 フクロウも
菖蒲愛でつつ そなたに酔わん


十六夜を 鹿に重ねて 菖蒲酒


君を待ち 菖蒲愛でんや この月に


香りくる 君を偲びて 月のもと
果てなき想い 手折りも出来ず



悩ますは 昼間の雪花 夜の蛙
風情ほどなら 嬉しきなるも


立待ちに 我を酔わせし 菖蒲花
流るる水も 乱れて候


君無くば 立待ち月に 花と酔い


雨に覚め 雨に眠らん 梅雨かな






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