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かたいしも 時節巡れば 口開き



彼のひとを 縛るも哀し 蔦の恋



移ろうも 想いは深き 蔦紅葉



諍いに オヤマボクチが 胸に咲き 



孫たちに 玩具作らん 竹の春



言の葉も 肌も美し 竹の春



芒野に 星を見上げて 逢瀬かな



逢瀬夜は 芒も招く 月明かり



一人夜は 想いの揺れる 芒かな



嫌われて 庭で焼かるる 秋刀魚かな



秋刀魚焼く 庭に集まる 野良の猫



しじま夜は 木の実落つるを 耳は待ち



独り座す 我に酒酌む ちちろ虫



行く秋は 虫らの想い 酒に酌み



行く秋は 想い乱れて 千千の闇



立ち枯れの 栗の木哀れ 廃れ里



ガチャガチャと 騒げば秋も 慌て逃げ



夜な夜なに 栗を拾うて 猪(しし)は去り



金柑の 彩り嬉し 我の庭



悪カラス 木守り柿まで 食い尽くし





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