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その瞳 何処に向ける 蜻蛉かな



人にだけ 優しきものか 赤い羽根



移ろいに 音色の哀し 蟋蟀や



雪の如 尾花舞わせて 鹿走る



我を言ふ 村人の口 そぞろ寒



美しや 里野を染めて 龍田姫



移ろえる 想いの哀し 蛍草



冬支度 済ませて寝るか 鬼の子は



蔓たどり 今は我が手に 山葡萄



食わぬかと 頬染め誘う ムベの実は



秋祭り 孫の担ぎし 神輿かな



移ろいは 女子の担ぐ 神輿かな



届くなら 食べてみろよと アケビあり



木枯らしも 蟷螂の子にゃ 勝てぬとか



蔓枯れて 昨日に揺れる 烏瓜



野鳥らの 冬の食卓 賑わせて
我も食べたし びぃびの熟す



石垣を 覆いて茂る びぃび蔓
葉陰に覗く 熟実の誘い



鹿よ来い 猪も来い この田には
またびが実り そなたら待つぞ



猪よ 掘りも掘ったり この川原
どんなご馳走 隠れて居たぞ



紅葉夜は しじまに更けて 星たちの
噂話しに はらりと散るや









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