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虫の音も 夜毎に寂し 行く秋は


しじま夜は 木の実の一つ 落ちる音
耳朶を震わせ ただ更け行くや


モミジらよ 散り行く覚悟 出来たかや
やがての夜にゃ 木枯らし吹くぞ


虫よ虫 暇乞いすら せぬままに
彼のひと連れて どこに消えたや 


流行りとて 遍路の道に 何求む
心忘れし 空蝉の身は


空蝉や 枝の騒ぎに ただ眠り


空蝉に 想いを詰めて 冬支度


行く秋は この恋隠さん 空蝉に


空蝉に 隠せし恋は 春を待ち


木枯らしや 空蝉寝かす 子守唄


彼のひとを 包(くる)みて守れ 空蝉よ
木枯らしたちに 攫われるなよ



空蝉は 木枯らし誘い 子守唄










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