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この夜は 蛍凍えて 店じまい
蛙の有志 細々歌い 


雲波に ひとりたゆとう 月の舟
後光かざして 誰の夢運ぶ


逝くとても 彼岸見えざる 皐月闇
蛙が歌で 君を送るや


歳経れば 彼岸に求む 安らぎよ
現世の垢 さらりと捨てて


せせらぎに 蛍舞え舞え 恋をせよ
我は恋枯れ 老い惚れゴリラ


恋経れど 未だ見えざる その姿
赤子の我は 何を恋わんと


つらつらと 想ふに恋の 不可思議よ
君の無ければ 芽生えもせずと


楽しけり 亦苦しけり 妖しけり
恋の不可思議 神の御業か


月舟の 見えざる梅雨の 空憎や


月無くも 蛙と蛍 賑やいで
宵闇楽し 春の夜かな


鶯の 月を焦がれて 鳴く風情
野次を飛ばすは 行行子かな


恋うれども 想い澱むや 梅雨の空
やがての雨に ため息零し


雪花真似 妻を沢山 娶るなら
釈迦もイエスも 役には立たず


黎明に 雪花の鳴ける 風情かな


黎明や 残業蛙 床の中


黎明が 今日も連れ来る 酷暑かな


舞わんとて 蛍憎むや 風の吹き


風よ風 蛍の恋の 儚さを
知らば無下にも 吹けまいものを


この夜に 月は在れども 蛍無く
無粋の鳥ら 蛙と騒ぎ


月見上げ 欠けた欠けたと 不如帰
満つる途中と 弦月怒る








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