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秋や秋 何故に紅染む 彼岸花
よもやサマツに 惚れたせいかや


愚かなる 我に愛想を 尽かしたか
蜻蛉居らずば 秋空淋し


鰹さえ 行方知らずの 黒潮や
ナビの無ければ 戻りも出来ず



虫連れて 逝くひとのあり この夜長
虫に連れられ 来るひともあり


夏の日の 恋を弄る 枯れ尾花
愛しさ募る 星闇の中



恋うる夜は 君抱かんや 曼珠沙華


言の葉を 忘れて恋うる 曼珠沙華
紅染め咲けば 彼のひと知るや


ガチャがチャと 無粋の歌で 誰口説く
蓼食う虫も 好き好きなれど


虫たちの 恋を眺めつ 秋の往く


山上に 風車眺めて 咲き競う
コスモス畑 人も賑わい


水面ゆく バンの親子に 秋を知り


見てくれを 磨きし八重の 槿花
心無き故 無作法に散るや


侘しさに 温もり探す 星明かり
君無き里に 虫らと泣きつ


空の青 抱かんと燃ゆ 曼珠沙華


骨を焼く 陽射し忘れて 空の青


虫の音も 聴かず帰るか 二日月


虫原や 君と眺めし 三日月に
夢託したは いつの頃かな


夜々の月 過ぎ去り行けば 我一人
叶え岬に 君偲ばんや


野路菊や 一輪愛でて 君の手は


野路菊に 口づける君の 唇よ
その色甘くば 我も染めたや 









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