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人の波 車の波に 漂えば
まだ見ぬ地獄 恋しく想ふ


人は何故 この雑踏に 群れたがる
里のしじまを 何故に嫌うや


野生では ゴリラ雄雄しや 頼もしや
街に出たなら 借り猫の身よ 

以上三首 街にて


鶯よ そなたを真似た ウグイスが
近く騒ぐと 巷の噂


虫の音よ 蛙の歌よ 舞う蛍
命紡いで 里の夜かな


移ろいは 花の姿よ 鳴く虫よ
友の訃報に 動ぜぬ我よ


花一輪 零れてけふの 移ろいや


鬼百合の 迎えを受けて 山路かな


竿灯や 囁き草の 祭りかな


月は無く 蛙歌わず 虫鳴かず
しじまの夜は 涼風に更け


政治屋に 春遠かりし 戦待ち 
懐寒きに 鶯鳴けず


長梅雨や 月見の花を いじめ居り


何故に グズグズするや 梅雨よ梅雨
月見の花と 童が泣くぞ


風情無き 夜を慰む 盃の
中に潜むは 七海か宇宙か
             字余り


梅雨よ梅雨 そなた去らねば 夏の来ぬ
燃える恋らが 燻りてあり



梅雨なれど 姥の百合らは 花盛り
若気も無きに 夏すら待たず


散るとても 作法を知らぬ 槿花
心忘れて 八重に咲くかや


山道に かのこ(彼の娘)と鹿の子 我待つや


三十一に 戯れ遊ぶ 老いの日々
春夏秋冬 手玉に取りて




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