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凛々しくも 淑やかに咲く 月見草
その胸の内 彼のひと知るや


こんな夜は 盃捨てて ジョッキ持つ
喉の謀反に 抗い知らず


夏ぞ夏 太陽カンカン 腹立てて
蝉は集いて 野次飛ばす
 

魑魅魍魎 解き放たれて 千代田森
津々浦々に 鷽鷺(うそ・さぎ)騒ぐ


恋焦がれ 逢瀬まだかと 苛れ待ち
夕日急かせて 涼風抱くや
 

涼風や 嗚呼涼風や 涼風や
そなた居らねば この夜は地獄


ガヤガヤと 田端会議の 蛙かな


行行子 鶯蛙 不如帰
蝉虫まざり 里夜賑やか


灼熱や 宵の喧騒 風攫い
更けるしじまに 鶯一つ


鶯と 何を語らう アオバズク
耽る想いに 夜の短く


小鳥らの 声に連れられ 里の朝


年々に 暑さの厳し 感じるは
年のせいかよ 温暖化かよ 


昼焼くは 問答無用の 太陽よ
夕に妬くのは アツアツ蛍


こんな夜は 幽谷訪ね 涼まんも
逢瀬が待てば 儘にも成らず


涼風よ 何が不満で 家出した
おかげで我は 汗蚊のえじき


逢瀬とて 君を見ないで 星見上げ
肘鉄喰らう 朴念仁かな


夏色や 嫌でも染まる 目も耳も



奥山は 夜のしじまに 沢の音
ときに河鹿が 鳴くも善しかな


灼熱を 逃れ皐月の 闇に酔い


浮世捨て 山の彼方に 闇愛でりゃ
浮気者よと ネオンが怒る







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