宵闇に 乙女の咽び 泣くような
  さても妖しき 十三夜月



酔うほどに 乙女の月の その色気
   虫らも歌を 忘れて眺む



かぐや姫 降りて来そうな 月の夜



美しや 明日を夢みる 乙女月
 そなたの恋は 何処に咲くぞ



余りにも 美しゆえに その空で
  孤高と成るや 乙女の月は



更ける夜は 乙女の月も 西の空
  明日は尚増す その美しさ



震えおる 里を照らすは 夜長月



我一人 震えて仰ぐ 夜長月
 君の恋われて 影ぞ探さん



十六夜は 泣いて居るよな 雲の月
  叶わぬものか 乙女の恋は



地にモミジ 空に星らも 凍え居り
  行きし秋には 恋も散るかや



立待ちも 今は恨めし 夜の寒さ
  君よ早よ来い 月よ早よ出よ



君恋わば 寂し想いの もみじ月



君去らば 色取り月の 寒さかな



眺むれば 梢の秋や 我の月



紅葉月 数多の星は どこへやら



この月よ 菊さえ惚れて 眺むとか



月よ月 寒さに震え 眺むゆえ
せめて彼のひと 映しておくれ



古に 親しむ君は この月を
如何な想いで 眺めて居るや



紅葉月 古眺め 今眺め
その移ろいに 何想わんや



寒空や セッカの声も と゜ことなく
 哀れに聞こゆ 居待ちの月よ



セッカ殿 月を目指して 舞い上がりゃ
  帰り辛きか 妻等の家に



居待ち月 服を一枚 重ね待つ



居待ちとて 我は誰待つ 寒空に
 妖し色気の 月の出待つや



居待ち月 そなた出るのが 遅すぎて
 口説き文句は 星に遣ったぞ



更ける夜に 震えて眺む 居待ち月
 細きその肩 静かに抱きて



秋の夜は 君と見上げし 居待ち月
 紅葉の頬に 言の葉無けり



恋うれども 眺めて居れぬ 居待ち月
 朝の早くば 諦め寝るや



更ける夜は 寝待の月と 密やかに
 逢瀬に酔える 楽しみもあり



早よ来いと 二十日の月の お招きよ
 取るもの取らず 逢瀬の場所へ



星は消え 月さえ姿 現さぬ
 秋の夜長の ただ詰らなく






inserted by FC2 system