小綬鶏よ 来い来い言わず そなた来い

    タレを忘れず 背負って来いよ




 ホトトギス 今日も元気か 大声で

  テッペンカケタと 騒ぎ居るぞや




 近ごろは お誘い無きか 小綬鶏よ

   心変りは 淋しきものぞ




 黎明に 何を騒ぐか 行々子

  里の静寂は いつ味わえる




 月も無く 鳥も鳴かずや この夜よ

    蛙の歌は 虫の音包み




 雨連れて 山に里にと 朝来れど

   鳥の鳴き声 無きは淋しや




 ホトトギス 何故に鳴かぬか 騒がぬか

    上がりし雨は また降るのかや




 雨降るを 喜び居るは 蛙のみ

  早よ降れ降れと 大合唱よ




 雨よ雨 降るなら降れよ 存分に

   どうせ今宵は 月の無い夜




 雨音に 合いの手入れて 蛙鳴き

  土間のコウロギ ヤンヤの拍手




 今度こそ 雨は止んだか ホトトギス

   そなたの声を 信じて良いか




 雨止めば 庭の虫らは 歌うぞや

   我が世の春と 声の限りに



 庭の虫 土間のコオロギ 田の蛙

   競いて鳴くや 我を無視して




 夜もすがら 騒ぎ居るのは ホトトギス

    田の蛙らと しめし合わせて




 寝間の中 小綬鶏呼ぶを 聴き居れば

   今日は晴れぞや 暑く成るかや




 行行子 葦の中なら 涼しかろ

   我は汗噴く お日さんの中




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